夏と猫と炭酸水

片想いぐらいが丁度いい。

生きて会いましょう。

 

※ライブ報告ネタバレ曲名があります。

 

ライブ会場に近づくに連れて見慣れたTシャツを着た人々が多かった。

天気は薄曇り。日陰に入れば肌寒い。去年は雨だったなと思い出しながら買いたてのTシャツを片手に広坂の坂道を下る。交差点は相変わらず人が多くて、外国人と日本人が半々くらい。ここは日本なのだろうか思いながら雑踏の隙間を縫って喫茶店へ上がって行った。

 

「生きて会いましょう」

 

5/20。ライブの最後で秋田さんは叫ぶように言った。

叫んではなかったのかもしれない。でも、自分の耳にはそう聞こえた。

 

 

丁度、一年前に行ったライブでは行きながら行きたくないと矛盾した気持ちを乗せて車を運転していた。田園風景を突っ切る絶景の高速道路を制限速度ギリギリで走ってついたのはライブが始まって1時間たったときだった。

係員さんに足元を照らしてもらいながら入った会場で私は震撼した。

そこにはamazarashiがいた。

スクリーンの向こうで叫ぶ秋田さんがいた。

初めて生で聞いたamazarashiの歌はまるで魂を掴んでくるような乱暴さと抱き締めてくれるような優しさに溢れていた。

 

この人、歌いながら死ぬんじゃないかな。

 

曲が進むごとにそんな事を思った。それだけ秋田さんの全力が伝わって来た。ライブが終わった瞬間、倒れても驚かない。

ライブが終わって、夢現のままメッセージボトルを買った。そして今日まで毎日聴いてる。

 

地方都市のメメント・モリはライブに行く前からこれまでと毛色が少し違うと思っていた。

何というか、「次はお前の番だよ」そう言ってくれてる気がした。

隣にいたのが今度は少し後ろから「行け。大丈夫。俺も行くから」と。

ライブはamazarashiだった。心から好きなamazarashiだった。

止まらない鳥肌と魂を掴まれるような感覚は変わらなかった。

空洞空洞も、リタも、ムカデも、命にふさわしいも自分の体に染みて血肉に変わった。

この街で生きいるを聴いて実家を出た時のことを思い出した。

スターライトで終わらすamazarashiは本当に憎い。だって自分がamazarashiを聴いて一番最初に惚れた曲だから。こんな凄い曲を歌う人がいるんだと衝撃を受けたんだ。

 

「生きて会いましょう」

 

秋田さんがそう言った瞬間涙が溢れた。

そこで涙が出るなんて自分でも不思議だった。ただ、これまでどんな「生きて会いましょう」より重たくて現実的で嬉しかった。

一年後、自分は次の自分になってamazarashiに会えるのだろうか。まだわからないし、不安しかないけど、いつかこんな自分になったよって胸を張って言いたい。

 

ライブが終わって現実に帰る。朝から仕事だし、上司はクソだし、勤務表が無茶苦茶だし、新人教育の資料は作らないといけないし、好きだった同僚はいない。

クレーマーおばあちゃんは変わらず電話をかけて来て家に来いと騒ぐのだろうか。

考えるだけで憂鬱。でも、きっとなんとかなるだろう。